歯周病
歯周病とは
歯周病は、虫歯と並び口の中の2大疾患と呼ばれる代表的な病気です。
現在、日本では30歳代の約7割以上の人がこの病気にかかっているといわれています。
しかし、この病気は早期では自覚症状が非常に乏しいため、知らない間に病気が進行してしまうケースが多く、異常に気づいたときには抜歯を余儀なくされてしまうこともあります。
また、最近では全身疾患との関連も指摘されており、心疾患や動脈硬化、呼吸器系疾患、糖尿病、早産や低体重児出産など多くの疾患の原因のひとつであることが分かっています。
歯周病の進行
健康な歯周組織
健康な歯肉は硬くピンク色をしています。その裏打ちをしている骨は歯槽骨と呼ばれ、歯肉とともに歯をしっかりと支持しています。歯の根の表層はセメント質に覆われ、歯根膜という靭帯を介し歯槽骨とつながっています。これら、歯肉・歯根膜・セメント質・歯槽骨の4つの組織を歯周組織と呼びます。
歯肉炎
歯と歯肉の境にプラークが付着すると、プラーク中の細菌が歯肉に炎症を引き起こします。
その結果、歯と歯肉の境には病的な歯周ポケットが形成されます。炎症の波及により歯肉は赤くブヨブヨと軟らかく変化し、ブラッシング時に出血をみることもあります。また、歯は浮いた感じなど違和感を認めます。
歯周炎
歯肉のみに炎症が起きていた歯肉炎とは異なり、さらに歯周組織全体に炎症が波及してしまった状態です。歯肉は常に赤く腫脹し、歯の支えとなる歯槽骨の吸収により歯は病的に動揺します。
歯周病の原因
歯周病は、口の中に存在する細菌によって引き起こされる病気(感染症)です。原因となる細菌が、歯の表面や歯周ポケットの中にプラーク(歯垢)と呼ばれる塊を形成します。また、異常な歯の組み合わせや全身疾患はこの病気をさらに悪化させると考えられています。
治療の流れ
- STEP1
- 原因を取り除きましょう。プラークコントロールやプラークの付着しやすい環境を整えたり、噛み合せの調整などを行います。
- STEP2
- STEP1が効奏せず、残ってしまった病気を外科的に改善します。
- STEP3
- 最終治療です。最終補綴物(冠や義歯など)の装着などを行い、改善を認めた歯周組織の維持を図ります。
- STEP4
- 治療後のメインテナンスです。健康な歯周組織を長く維持できるよう定期的に検診をします。
当院での歯周病治療症例
歯肉炎の改善症例1
歯肉炎治療前
上の前歯の歯肉辺縁(黄色の矢印)は赤みを帯び腫れを認める。 下の歯の隙間にはプラークや歯石の沈着(水色の矢印)が見られる。
歯肉炎治療後
ブラッシングを中心としたプラークコントロールと歯石除去、定期的なPMTCにより問題のあった部位(黄・水色の矢印)は改善し、健康な歯肉を維持している。
※PMTC:専門医による歯の清掃
歯肉炎の改善症例2
歯周炎治療前のレントゲン写真
歯周病の進行により前歯を支持する骨(歯槽骨)の垂直性吸収(矢印周囲の骨が吸収し黒い部分)が認められる。この時点で歯は大きく揺れ、痛みを常に感じ、食事もままならない状態であった。
歯周炎治療後のレントゲン写真
問題のあった骨の吸収部分は適切な歯周治療により改善し、新たな骨が再生(矢印部分)したことがわかる。現在は歯の揺れもなくなり食事への影響もまったく消失した。